2023年11月4日土曜日

高嶺の花に当たって砕けろの全力投球

大学を卒業して間もない頃、職場の先輩と行ったレストランの店員の女性に恋に落ちました。と言うより私が一方的に惚れてしまったのです。 容姿はもちろん気丈な態度、特に私が初めて「お綺麗ですね。」と言ったときの「はぁ?」みたいな強気な表情と性格にバッチリ惚れ、それから一人でもそのお店に行くようになりました。行くたびに少しづつ話しかけ、仲良くなっていきました。半年以上そうして粘りました。正直お金が一番きつかったです。高級店ではないにしろ、一食2000円くらい取られるので、新入社員の安月給には大ダメージでした。連絡先を交換できたのは夏も終わり肌寒くなった頃でした。 仲良くなってみると意外に明るく、気が強く感じるのも彼女があまりにも正直だからです。私は会うたびに彼女に惹かれていきました。 しかし、それと同時に不安にもなります。彼女は正直ですが、感情をあまり表には出しません。おそらく聞けば答えてくれるでしょうが、仲良くなったとは言え彼女の心根が掴めないと、聞く勇気が出ずにいました。 12月上旬、私と彼女が何度か目の食事をしていると、無表情の彼女が不意に私に聞きました。 「私の事好きなん?」 ドキっとしました。せめてクリスマス的な日に告白しようと思っていたので、あまりの衝撃に一瞬目が泳ぎ、頭の中は状況把握の為にフル回転しました。おそらくそれは一瞬の出来事だったのですが、体感時間はその何十倍でした。 一呼吸おき、覚悟を決めました。 「うん、好き。付き合ってほしい。」 彼女の眼をまっすぐ見て言いました。彼女も私の目をまっすぐ見つめていました。 数秒間の沈黙。どんな返事でも私は後悔しないと心に決めました。 「いいよ。」 恥ずかしそうに目線を少しそらしながらそう答える彼女。私は嬉しさのあまり立ち上がり「マジで!」と叫びました。 人生で一番馬鹿正直にした恋です。